フランスで精子提供の「匿名」が事実上終了――3万本の凍結精子が使えなくなり、不妊治療の現場に影響
参考にしたニュース
Le Monde「PMA : 30 000 paillettes de spermatozoïdes, issues de dons anonymes, ne peuvent plus être utilisées」
公開日:2025年4月1日
URL:
https://www.lemonde.fr/societe/article/2025/04/01/pma-30-000-paillettes-de-spermatozoides-ne-pourront-plus-etre-utilisees-apres-le-31-mars_6589048_3224.html
ニュースの概要
フランスでは、精子・卵子などの提供で生まれた人が18歳になったときに提供者の身元情報にアクセスできる「出自を知る権利」を保障する生命倫理法が導入され、その経過措置が2025年3月末で終了しました。その結果、匿名を維持したドナー由来の凍結精子約3万本は、4月1日以降、新たな生殖補助医療(PMA)には使えなくなりました。一方で、ここ数年で新たな精子ドナー登録は増え、2022年以降に採取された精子サンプルは10万本を超えるとされるなか、独身女性や女性カップルからのPMAの申し込みが急増し、初回治療までの待機期間は1年半以上に伸びるなど、権利の拡大と治療アクセスのギャップが課題になっています。
今日取り上げるニュース
フランスで精子提供の「匿名制度」が大きく変わり、匿名のまま残っている精子約3万本が新たな不妊治療には使えなくなった、というニュースを取り上げます。背景には、2021年に成立した生命倫理法があり、精子や卵子などの提供によって生まれた人が18歳になったときに提供者の身元情報にアクセスできる「出自を知る権利」を保障する仕組みが導入されました。この法律に基づき、2025年3月末までに過去のドナーに対して匿名を続けるかどうかの意思確認が行われ、連絡が取れなかった人や匿名を維持した人の精子は、4月1日以降の新しいPMAには使えないことになりました。同時に、近年は新しい精子ドナーやPMA希望者が増え続けており、独身女性や女性カップルからの申し込みの増加も重なって、初回治療までの待ち時間の長期化が問題として浮かび上がっています。
何が起きたのか(ポイント整理)
- フランスでは2021年の生命倫理法により、精子・卵子などの提供により生まれた人が18歳になったとき、提供者の身元情報にアクセスできる「出自を知る権利」が認められた。
- この法律に伴う経過措置が2025年3月31日に終了し、匿名を維持したドナー由来の精子約3万本は、4月1日以降、新たなPMAには使えなくなった。
- 一方で、2024年の精子ドナー候補は前年より増加し、2022年以降に採取された新しい精子サンプルは10万本超とされ、ドナー登録自体は増加傾向にある。
- 精子提供を伴うPMAの申し込みは、法律改正前と比べて約8.5倍に増え、独身女性や女性カップルからの申請が大きな割合を占めている。
- その結果、初回治療までの平均待機期間は約15.5か月から17.7か月へと延び、2024年末時点でおよそ1万600人の女性が順番待ちをしていると報告されている。
ここからは私(YUu)の感想や意見です
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お金ではなく「出自を知る権利」を優先した決断として
フランスの今回の動きは、治療費の補助を増やす話ではなく、「すでにある精子をどう扱うか」というルールの変更です。それでも、匿名のまま残っている精子約3万本を使えなくするというのは、患者さんの立場から見ると、とても重い決断だと感じました。一方で、将来生まれてくる子どもが「自分は誰の遺伝子を受け継いでいるのか」を知る権利を優先した、という見方もできると思います。提供者のプライバシーを守るか、子どもの権利をどこまで重く見るかは、多くの国で議論になっているテーマで、フランスは今回はっきりと「子どもの側」に軸足を置いたように見えました。実際に治療を待っている人にとっては、「使えるはずの精子があるのに法律の都合で使えない」という状況はとてもつらいと思いますが、長い目で見ると、「子どもが大人になったときに困らないようにする」という考え方が、社会全体として大事にされ始めているのかな、と感じました。
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家族のかたちと待ち時間のはざまで
フランスでは、数年前の法改正で、独身女性や女性カップルも公的医療保険のもとでPMAを受けられるようになりました。その結果として、精子提供を伴う治療へのニーズが急激に増え、申し込み数は従来の数倍に増えていると報じられています。「利用できる人の範囲」を広げること自体は、家族のかたちの多様性を尊重するうえで、とても前向きな一歩だと感じました。ただ、実際の現場では、ドナーの数や人手が追いつかず、待機期間が1年以上、場合によっては2年近くになることもあるとされています。待っている間に年齢が上がってしまう人や、やむを得ず他国で治療を受ける人もいると聞くと、うれしさと不安が入り混じる状況だなと感じました。制度としては「門戸が開かれた」のに、実際には順番待ちが長くて治療に進めないというギャップは、気持ちの面でもかなりつらいと思います。誰をどの順番で優先するのか、地方に住む人や経済的に余裕のない人が置き去りにならないかなど、これから丁寧な議論と改善が必要だと感じました。
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日本との違い・共通しているところ
日本では、卵子提供や精子提供について、2020年に生殖補助医療法ができて親子関係のルールは整いましたが、「出自を知る権利」や提供者情報の管理・開示については、まだ法律で明確に決まっていないとされています。日本産婦人科医会などの専門家団体は、ガイドラインの中で「提供者は原則匿名だが、子どもの出自を知る権利も尊重すべき」といった考え方を示し、倫理委員会の仕組みを通じて対応してきました。しかし、公的なデータベースや全国一律のルールはまだなく、今後の法整備が課題だと指摘されています。フランスのように「一定の時点で匿名の提供は事実上終わりにする」という決断を日本がすぐに真似できるかどうかは、簡単には言えないと思います。ただ、「将来生まれてくる子どもの気持ちをどう考えるか」「今すでに治療を待っている人の不安をどう減らすか」という二つの軸で考える必要がある点は、フランスも日本も共通しているように感じました。日本でこのニュースを読む私たちにとっても、将来の制度づくりを考えるうえで大きなヒントになる話題だと思いました。
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さいごに短い注意書き
この記事は、公開されているニュース記事をもとに、私(YUu)が個人的な立場から内容を整理・要約したものです。実際の治療や制度の利用については、必ず医療機関や専門家にご相談ください。