フランスで精子提供の「匿名」が事実上終了――3万本の凍結精子が使えなくなり、不妊治療の現場に影響

フランスにおける精子提供の匿名性廃止と出自を知る権利に関するニュース

参考にしたニュース

Le Monde | 2025年4月1日
🔗 https://www.lemonde.fr/societe/article/2025/04/01/pma-30-000-paillettes-de-spermatozoides-ne-pourront-plus-etre-utilisees-apres-le-31-mars_6589048_3224.html

フランスで精子提供の「匿名」が終了へ

フランスで精子提供の「匿名制度」が大きく変わり、匿名のまま残っている精子約3万本が新たな不妊治療(PMA)には使えなくなった、というニュースを取り上げます。

背景には、2021年に成立した生命倫理法があり、提供によって生まれた人が18歳になったときに提供者の身元情報にアクセスできる「出自を知る権利」を保障する仕組みが導入されました。この法律に基づき、2025年3月末までに過去のドナーに対して匿名を続けるかどうかの意思確認が行われ、連絡が取れなかった人や匿名を維持した人の精子は、4月1日以降の新しい治療には使えないことになりました。

何が起きたのか(ポイント整理)

  • ルールの変更:フランスでは2021年の生命倫理法により、精子・卵子などの提供により生まれた子どもが18歳になった際、ドナーの身元情報にアクセスできる権利が認められました。
  • 経過措置の終了:法律に伴う経過措置が2025年3月31日に終了し、匿名を維持したドナー由来の精子約3万本は、4月1日以降、新たなPMA(生殖補助医療)には使えなくなりました
  • 需要の急増:一方で、独身女性や女性カップルからの申し込みが急増しており、法律改正前と比べて約8.5倍になっています。
  • 待機期間の長期化:その結果、初回治療までの平均待機期間は約15.5か月から17.7か月へと延び、多くの女性が順番待ちをしている状態です。

ここからは私(YUu)の感想や意見です

1. お金ではなく「出自を知る権利」を優先した決断として

フランスの今回の動きは、治療費の補助を増やす話ではなく、「すでにある精子をどう扱うか」というルールの変更です。それでも、匿名のまま残っている精子約3万本を使えなくするというのは、患者さんの立場から見ると、とても重い決断だと感じました。

私が以前学んだ社会福祉の視点でも、「子どもの最善の利益(The best interests of the child)」は最も優先されるべき原則の一つです。提供者のプライバシーよりも、将来生まれてくる子どもが「自分は誰の遺伝子を受け継いでいるのか」を知る権利を優先したフランスの決断は、痛みを伴いますが、社会全体で子どものアイデンティティを守ろうとする強い意志を感じます。

2. 家族のかたちと待ち時間のはざまで

フランスでは、数年前の法改正で、独身女性や女性カップルも公的医療保険のもとでPMAを受けられるようになりました。その結果として、精子提供を伴う治療へのニーズが急激に増え、申し込み数は従来の数倍に増えていると報じられています。

制度としては「門戸が開かれた」のに、実際には順番待ちが長くて治療に進めないというギャップは、気持ちの面でもかなりつらいと思います。米国などではドナーへの補償システムが確立しているため供給がある程度確保されていますが、フランスのような公的な管理体制では、ドナー不足が深刻化しやすい側面があります。誰をどの順番で優先するのか、これから丁寧な議論と改善が必要だと感じました。

3. 日本との違い・共通しているところ

日本では、卵子提供や精子提供について、2020年に生殖補助医療法ができて親子関係のルールは整いましたが、「出自を知る権利」や提供者情報の管理・開示については、まだ法律で明確に決まっていないとされています。

フランスのように「一定の時点で匿名の提供は事実上終わりにする」という決断を日本がすぐに真似できるかどうかは、簡単には言えないと思います。ただ、「将来生まれてくる子どもの気持ちをどう考えるか」「今すでに治療を待っている人の不安をどう減らすか」という二つの軸で考える必要がある点は、フランスも日本も共通しています。日本でこのニュースを読む私たちにとっても、将来の制度づくりを考えるうえで大きなヒントになる話題だと思いました。

読んでくださっている方へ

最後までありがとうございます!
いま皆さんが感じていることを、ぜひアンケートで教えてください。
皆さんの声が重なることで、未来を変える大きな力に変わるかもしれません。
どなたでも匿名で、ポチッと気軽に参加していただけたら嬉しいです!

将来の子どもが自分のルーツを知る権利を守ることは大切だが、それによって「今ある精子」を大量に破棄し、治療の道を閉ざすのは残酷な決断だと思う。
法律で「誰でも治療を受けられる」ようになっても、順番待ちが1年以上続くようでは、不妊治療において最も貴重な「時間」を国が奪っているのと同じだ。
「出自を知る権利」を認めるなら、ドナーが匿名を維持したい心理も理解し、双方が納得できる日本独自の「ドナー登録・開示システム」を早急に作るべきだと思う。

また、アンケートへの回答に加えて、具体的なエピソードや「もっとこうなったらいいのに」というお気持ちがあれば、ぜひ下のコメント欄で聞かせてください。
あなたの一言が、同じように悩んでいる誰かの支えや、新しい気づきにつながるかもしれません。
どんな小さなことでも、気軽な投稿をお待ちしています。

さいごに短い注意書き

この記事は、公開されているニュース記事をもとに、私(YUu)が個人的な立場から内容を整理・要約したものです。実際の治療や制度の利用については、必ず医療機関や専門家にご相談ください。

Related Articles

マレーシア政府が不妊治療費を支援へ――BUAIプログラムで3万組の夫婦を対象に

マレーシア政府は、少子化対策の一環として「不妊治療支援および不妊啓発プログラム(BUAI)」を通じ、不妊治療費の補助を本格的に進める方針を示しました。女性・家族・社会開発省の副大臣によると、全国で約3万組の夫婦がこの支援の対象となることを目標としており、国立人口・家族開発庁(LPPKN)が窓口となって選定病院と連携し、人工授精(IUI)などの治療を支える仕組みです。対象は一定の条件を満たす夫婦で、特に初めての子どもを望むカップルが優先されます。背景には、出生数の減少と高齢化により人口構造の変化が進んでいることがあり、政府は不妊治療への経済的支援と、若い世代への家族教育やリプロダクティブヘルスの啓発を組み合わせて進める姿勢を示しています。

ジャージー島でIVF公的支援の対象が拡大へ――前のパートナーとの子どもがいても、女性同士カップルでも利用しやすくなります

イギリス海峡のジャージー島では、公費による体外受精(IVF)費用支援制度の対象条件が2025年10月1日から見直され、前のパートナーとのあいだに子どもがいる人や女性同士のカップル、一時的に島外に住んでいた長期居住者なども、公的支援を受けやすくなる方向で拡大されました。もともと年齢や世帯収入に応じて最大3回までIVFサイクルを支援する枠組みがあり、その「誰が利用できるか」という線引きが柔らかくなった形です。

子どもを産む選択、産まない人生 — 不妊治療の「今」を考える

2022年4月から始まった不妊治療の保険適用拡大を背景に、実際に治療を経験した元プロテニスプレーヤーの杉山愛さんと、コラムニストの吉田潮さんが対談。単なる制度解説に留まらず、治療中のドロドロとした感情、ステップアップへの恐怖、そして「産まない」と決めた後の心の整理など、当事者のリアルな深層心理に迫る内容です。