卵子提供の「匿名性」は必要?スペインの事例から考える家族の形

参考にしたニュース

Instituto Bernabeu | 2026.01.31
🔗 https://www.institutobernabeu.com/en/blog/legality-of-egg-donation-in-spain-anonymity-and-confidentiality/

ニュースの概要

ヨーロッパ最大の「不妊治療大国」であるスペインにおいて、卵子や精子の提供を「匿名」で行う現在の法律が、憲法裁判所によって改めて「合憲(問題ない)」と判断された、という経緯があります。周辺のヨーロッパ諸国が次々と「出自を知る権利」を認めてドナーの身元開示へと舵を切る中で、スペインは「完全匿名性」を維持する独自の道を選び続けています。

今日取り上げるニュース

スペインは、ヨーロッパ全土で行われる卵子提供件数の半数近くを占めると言われるほど、生殖補助医療(ART)が盛んな国です。その背景には、ドナーのプライバシーを完全に守る「匿名性」の法律があります。

イギリスやフランス、ポルトガルなどが「子どもが遺伝上の親を知る権利」を優先して法律を変える中、スペインでは「ドナーの匿名性を守ることが、ドナー不足を防ぎ、患者が治療を受ける権利を守ることになる」という判断が司法の場でも支持されています。

このニュースは、不妊治療における「子どもの権利」と「親になりたい人々の切実な願い」のバランスをどう取るかという、世界共通の深い問いを私たちに投げかけています。

何が起きたのか(ポイント整理)

  • スペインの立ち位置:法律でドナーの「完全匿名」が保証されており、ドナーと子どもはお互いの身元を知ることができません。
  • ドナーの状況:匿名性が守られていることと、適正な補償(金銭的サポート)があるため、若いドナーの登録数が非常に多く、待機期間が短いのが特徴です。
  • 周辺国との違い:多くの欧州諸国が「非匿名(オープン)」に移行しており、ドナー不足に悩む国の人々が、治療を求めてスペインに渡航しています。
  • 日本との違い:日本にはまだ明確な法律がなく、現在国会などで議論が進んでいますが、「出自を知る権利」を認める方向性が強い点で、スペインとは対照的です。

ここからは私(YUu)の感想や意見です

  1. 1. 「待ち時間」と「治療の選択肢」の面から

    スペインの制度を知って驚いたのは、「治療を諦めなくて済む環境」が整っているという点です。日本では卵子提供を希望しても、ドナーを見つけることが非常に難しく、海外へ渡航する方も少なくありません。

    匿名性が守られているからこそドナーが集まりやすく、結果として「子どもを持ちたい」と願う人々の希望が叶いやすいという事実は、治療の出口が見えず悩んでいる当事者にとって、とても考えさせられる現実だと感じました。

  2. 2. 「子どもの気持ち」をどう考えるか

    一方で、生まれてくる子どもの立場に立つと、また違った景色が見えてきます。「自分はどこから来たのか」を知りたいと思うのは自然な感情かもしれません。

    スペインがあえて匿名性を維持したことは、ある意味で「家族の絆は血縁だけではない」という強いメッセージにも受け取れますが、もし自分の子どもがルーツを知りたいと願った時、それにどう答えていくのかは、制度に関わらず親として覚悟が必要な部分だと感じます。

  3. 3. 日本のこれからのルール作りについて

    日本でも今、まさにこのルールの議論が進んでいます。スペインのように「治療の受けやすさ」を重視するのか、他の欧州諸国のように「出自を知る権利」を最優先するのか。

    どちらが正解とは言えませんが、少なくともスペインのように「国としての方針」が明確であることは、安心して治療に進むための大きな土台になっているという印象を持ちました。

読んでくださっている方へ

ここまで目を通してくださり、心より感謝いたします。
このテーマをより良い形でお届けしていくために、読者の皆さまの率直なご意見を大切にしたいと考えています。
お時間のあるときで構いませんので、以下の3つの質問にご協力いただけないでしょうか。

治療の選択肢を広げ、ドナー不足を解消するために、ドナーの匿名性は守られるべきだと思う。
もし自分が提供を受ける立場なら、身元が分からない(匿名)ドナーの方が、心理的な抵抗が少ないと感じる。
「血縁」よりも「育ての親との絆」が重要であり、出自を知ることが必ずしも幸せに直結するとは限らないと思う。

さいごに短い注意書き

この記事は、公開されているニュース記事をもとに、私(YUu)が個人的な立場から内容を整理・要約したものです。実際の治療や制度の利用については、必ず医療機関や専門家にご相談ください。

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