【第1章】 悩む前に、まずは「お互いの体」を知ることから
はじめに: 「不妊」って、特別な病気ではありません
「赤ちゃんが欲しいな」と思って避妊をやめてから、1年経っても妊娠しないこと。
医学的には、これを「不妊(ふにん)」と呼んでいます。
でも、この言葉に傷つく必要はありません。「子供ができない体」と決まったわけではなく、「妊娠しにくい原因が、どこかにあるかもしれないから、ちょっと調べてみよう」というサインに過ぎないからです。
風邪を引いたら内科に行くように、なかなか授からなかったらクリニックに行ってみる。
まずはそのくらいの、軽い気持ちでスタートラインに立ってみましょう。
昔は「子供ができないのは女性のせい」なんて言われた時代もありましたが、それは大きな間違いです。
WHO(世界保健機関)の調査によると、実は「約半分のケース(48%)は、男性側にも原因がある」のです。
※WHO(世界保健機関)の調査に基づくデータ
不妊治療は、女性ひとりが頑張るものではなく、「ふたりで取り組むプロジェクト」です。最初は勇気がいるかもしれませんが、ぜひパートナーと一緒に検査を受けてみてください。
1. 最初に受ける「3つの基本検査」
「病院に行ったら、いきなり痛いことをされるんじゃ…」と不安になりますよね。
でも、最初のステップは「自分の体の現状を知ること」です。まずは、この3つの検査から始まります。
① 卵子の数チェック 「AMH(エーエムエイチ)検査」
女性の卵子は、生まれた時に数が決まっていて、年齢とともに減っていきます。新しく作られることはありません。
この検査では、採血(血液検査)だけで、「卵巣の中に、あとどれくらい卵子が残っているか?」の目安を知ることができます。
年齢ごとの卵子の数のイメージ
※年齢とともに数は自然に減っていきます
② 通り道のチェック 「卵管造影(らんかんぞうえい)検査」
卵子が通る道(卵管)が詰まっていないかを調べる検査です。
もしここが詰まっていると、どんなに元気な精子が来ても、卵子と出会うことができません。
- 方法: 造影剤という液体を流して、レントゲンで撮影します。
- メリット: 実は、この検査をした後は「卵管の通りが良くなる」ため、ゴールデン期間(妊娠しやすい期間) と呼ばれることもあります。
③ 男性のチェック 「精液(せいえき)検査」
男性側の検査は、とてもシンプルです。精液の中に「元気な精子がどれくらいいるか」を顕微鏡で数えます。
- 数: 精子の数は十分か?
- 運動率: 元気に泳いでいるか?(止まっていないか?)
- 形: 正常な形をしているか?
2. 「年齢」という壁について、正直にお話しします
少し耳が痛い話かもしれませんが、とても大切なことなのでお伝えします。
今は30代、40代で出産される方も増えていますが、生物としての体の仕組みは昔と変わっていません。
一般的に、35歳を過ぎると卵子の質が下がり始め、妊娠率が少しずつ低下し、流産率が上がっていく傾向にあります。
年齢による変化のイメージ
※35歳頃を境に、曲線が変化しやすくなります
だからこそ、「いつか欲しいな」ではなく、「今すぐ検査だけ受けてみる」という行動が、将来のあなたを助けることになります。
第1章では、まず「敵を知り、己を知る」ための検査についてお話ししました。
- 不妊は女性だけの問題じゃない(二人三脚で!)
- まずは「AMH」「卵管」「精液」の3つをチェック
- 年齢は待ってくれないので、早めの検査が吉